~鯉太郎便り~

“錦鯉のふる里” 長岡山古志より最新の有益情報をお届けいたします

東京大会中止に思うこと

楽しみにしていた全日本総合錦鯉品評会が中止となりました。
出品依頼の招待状も届いていましたし、並々ならぬ意気込みでもって開催を予定しているのだと思っていただけに、残念でなりません。

私も本命の鯉が昨年の若鯉大会以降の中止によりお披露目できず、東京大会の中止により結局品評会に出せずに終わりそうですし、その他にも大きな期待を寄せていた鯉が数本いただけに、せめて今回だけでも…という思いにもなりました。

f:id:KOISHOWJP:20210122155302j:plain↑個人的には3年連続雅賞受賞が断たれましたが、条件はみんな同じですからね


ただ、新潟の生産者さんの中には品評会はやってほしいけど、東京に行くのがいやだという声も聞かれましたし、コロナ感染者がまったくと言っていいほど出ていない錦鯉の生産地ですので(長岡市内は出ています)、長岡に帰ってきたらまずホテルで2週間隔離なんて話さえ聞かれたほどです。

これで丸1年全国品評会が開催されなかったことになりますが、予定されている若鯉大会までまだ2ヶ月ありますので、どんな形になるにしてもなるべく不満が最小限で済むような方法を模索して頂けるよう願っております。


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錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは? (終)

前回のつづきです。
国内ではブームが去って久しい錦鯉ですが、今後新たに国内で飼う人を増やすならやはり水槽飼育しかないように思います(池を持つ慣習を復活させることを除けば)。
やり様はいくつもあると思うのです。たとえば、濾過槽付きのFRP水槽をもっと安くする(笑)、水槽飼育用の配合飼料を販売する(要は水が究極的に汚れにくい)、新潟県は各都道府県のハブ駅に水槽と錦鯉を寄付して展示、ニッソーが透明素材でできた中が見える上部フィルターと、洗浄しやすくろ過効果が抜群に高いろ材を開発・販売などと、夢のようなアイデアだけは思いつきます(笑)。

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30㎝くらいの鯉を大きめの水槽に入れて飼うと、芸術品を眺めながら生活しているような気分に浸れます


でもFacebookなどでは、めだかや金魚などのコミュニティは結構盛んで若い世代の人たちも飼育談義に熱心なのに、錦鯉だけそういったものがないのは残念に思います。そうこうしているうちに、品評会は外国人出品者だけになり、国内から愛好家がいなくなって、次第に錦鯉文化が衰退していってしまうのではないかと危惧します(おそらくそう感じている方は多いでしょう)。

さて、また話が逸れてしまいましたが、以前大規模な鯉屋さんから14㎝ぐらいのプラチナを買いました。ところがその子はいつまで経っても大きくならずサイズが同じままだったのです。それをある時その鯉屋のスタッフの方にお話ししたら、「たぶん、それ(買ったとき)当歳じゃないですよ」と笑ったのです。
よく食べるし元気だし、おかしいなと思っていたのですが、実は大きくならない個体だったんですね。

ですので、養鯉場にお願いして、そういう個体ばかり集めて飼うという手もあるかもしれません。まあ普通に食べるので、フン自体が減るわけではないですが、小さいままというのは水槽のキャパシティを考えると良いかもしれません。あるいは、締め飼いされた個体も、伸ばせば多年魚になっても大きくはなりますが、もともと大きくしない方が良いと思って締め飼いされることが多いと思うので、さほど大きくならないのが多いのだと思います。

つまり、最初に挙げたネックとなる5つの課題も工夫によってクリアし、なるべく大きくならなそうな個体を買い、なるべく水の汚れない飼料を使い(咲ひかり低水温などでしょうか)、ひたすらろ材を洗う(笑)。これによって、環境が悪くても水槽で錦鯉が十分飼えるのではないかと思うのです。

まあ今回のような内容だけでは根本的な解決にはなりませんが、水槽飼育から興味を持って池を持つようになる人も当然いると思いますので、もう少し横見の鯉の話題がほしいところです。


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錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは? (4)

前回のつづきです。
さて、本題に戻りますと、これまで錦鯉が水槽飼育には難しいという理由について書いてきました。

次に、視点を変えまして、なぜ普及しないのかという点について考えてみます。
まず、サイドビューの品評会がないという点が挙げられます。第50回全日本総合錦鯉品評会で50周年記念としてサイドビューコンテストが行われました。出品者が似通った鯉屋さんばかりだった記憶がありますが、どれも横見がきれいでレベルが高かったです。

あんな鯉ばかり集めたら、それこそ美術館などからレンタルしてほしいという依頼が入りそうですし、ぜひとも恒例イベントにしてほしいと願いますが、まずは話題になる機会がなければはじまりません。

わたしがよく行く山古志の「おらたる」には、10尾程の大きな鯉が入る水槽がありますが、定期的に入れ替えるのか時々品種が違ったりします。ちょうど子供の目線になるような高さになっていて魅力的ですし、ヨーロッパや中国の熱心な愛好家の池にも、横見の窓がついていたりして、サイドビューというのは国を問わず惹きつけるものがあるんだろうと思います。

f:id:KOISHOWJP:20210118174137j:plain↑ 奥の120㎝水槽には約30㎝の鯉が3尾入っているのが見えます。その手前60㎝の薬浴水槽には目隠しの段ボールが貼ってあります。人間の存在を気にしないようにしていたのでしょう。


ただ、売る側からすると、「横見の鯉」というのは、今までの錦鯉文化の価値基準と真逆であるばかりか、選別が面倒で現実的ではないようです。ガラス越しで写真を撮ることになるので見映えも悪くなるという指摘を受けたこともありますし、ある生産者さんから「横見のキレイな白写りがいるからヤフオクに出しといて」と言われて出してみたのですが、入札がまったく入らず、取り下げたこともありました(カテゴリーを変えたら売れた可能性はありますが)。

つまり、横見の錦鯉を普及させるには、まず需要から創出していく必要があり、その手間と(売り手からする)コスパの悪さを考えると、やりたい人はほとんどいないというのが実情かもしれません。

~最終話につづく~

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錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは? (3)

前回のつづきです。

話が飛びますが、結局水槽飼育で全国品評会に出して、愛鱗会国際展の昭和35㎝の優勝一席まではいきました。光り無地やべっ甲でも勝ちましたが、出品本数の多い昭和三色で勝てたのはうれしかったです。

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タイ・バンコク近郊にある品評会の常連 Koikichi Fish Farmのいけす。日本と同等のろ過設備を持つことに驚かされます。自動給餌機もすべて「餌やり名人」です


ただ、しばらくして、これはやめました。
なぜかと言いますと、経験則でいうと、水槽飼育では25㎝以上になると鱗が落ちやすくなります。横見で鯉の側からも人間がよく見えるために、ちょっと激しい動きをしただけで驚く個体がいたりすると、水中にあるものにぶつかって鱗をはがしたり、傷つけたりします。
そのため、如何にものを置かないかに苦心したわけですが、たかだか150リットル程度までしか入れられないガラス水槽では無理があると、結局はキャンバスプールでの飼育に移行したのでした。

ですが、上見と横見で比較すると、親近感がわくのは圧倒的に横見でしょうし、魚の異変、たとえば鱗が傷んでるとか、虫がついているとかは、ガラス水槽での飼育だとすぐに気づけるといえます。水槽飼育をやめてしまった今でも、一緒に暮らしてる感覚をもう1回味わいたいなと思うことがしばしばあります。

~つづきます~

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錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは? (2)

前回のつづきですが、水槽飼育では鯉が跳ねてしまうというのも大きなネックとなります。ある時、大石養魚場の緋写りを買って入れたのですが、これが元気いっぱいでよく跳ねました。プラスチックのフタを設置していたのですが、外部フィルターの給水による水流をさかのぼろうとジャンプして、最初のころは5分に1回の割合でバンと大きな音がしていました。

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山古志にある「おらたる」の水槽。大きな濾過槽が付いていて、定期的に地元の生産者の方が清掃している


いろいろ試したのですが、最終的には松田漁具の大きな丸網を置いて、ジャンプしても衝撃を吸収するようにしました。コイが跳ねることによる思わぬ事故も多く、キャンバス飼育していて、品評会前に出品画像を撮るために防止ネットをはずした瞬間に跳ねて、鱗を飛ばしたなんてこともありました。

またろ過をどうするかという問題も小さくありません。濾過槽にエアを供給すべきでしょうが、それができる市販のものは上部フィルターしかありません。それにしてもスペースが小さすぎて、よほど薄飼いしないと不足します。

キャンバス(通常飼育用でしたら恵古商店の直径1mのものが高さがありおススメです)で飼うようになってからは、大谷錦鯉店の自家製濾過槽を使って、主に物理ろ過中心の設計で、汚れたらひたすら洗うということを繰り返していましたが、入れる魚のサイズは、水槽飼育で20㎝、キャンバスで35㎝までというのが日常の消耗する労力を考えたら無難というところかもしれません。

~さらにつづく~

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錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは?

以前20㎡ぐらいの部屋を“鯉部屋”にして、水槽を120㎝×1つ、90㎝×2つ置いて鯉を飼っていたことがあります。当時は、水槽飼育で全国品評会を勝つというのを目標にし飼育していたのですが、そのうちこの飼い方に限界を感じるようになりました。

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ちなみに、この写真に写っている左上の昭和は全日本総合錦鯉品評会の優勝鯉、右の金昭和も全国で3勝した鯉でして、この頃本気だったことがうかがえます(笑)。

さて、水槽飼育が難しい理由ですが、わたしは次の5つが大きいと考えています。

・デカくなる
・跳ねる
・ろ過能力が追いつかない
・売り手側に、横見の鯉を売るインセンティブがない
・サイドビューの品評会がない

このどれもがかなり重要な要素だと思っていますが、鯉は食いしん坊なので環境が良ければいくらでも食べようとしますが、飼い主にとってはエサくれ攻撃がこの上なく愛おしく感じるわけです。

横見の最大の魅力として、目と目が合うんですね(笑)。そして、帰ってくる度に首を振ってエサをねだる。出かける際には、出かける前にエサをくれとねだる(気がする)。これによって、どんどんエサをやりたくなってしまう。その結果、水も悪くなるし、少しずつ大きくなっていくのです。

~つづく~

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ブログ開設のお知らせ

ツイッターなどSNSで情報発信を行ってきた鯉太郎ですが、より幅広い層の方にご覧頂けたらという思いから、ブログを開設することにいたしました。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

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