~鯉太郎便り~

“錦鯉のふる里” 長岡山古志より最新の有益情報をお届けいたします

錦鯉が水槽飼育に向かない理由とは? (4)

前回のつづきです。
さて、本題に戻りますと、これまで錦鯉が水槽飼育には難しいという理由について書いてきました。

次に、視点を変えまして、なぜ普及しないのかという点について考えてみます。
まず、サイドビューの品評会がないという点が挙げられます。第50回全日本総合錦鯉品評会で50周年記念としてサイドビューコンテストが行われました。出品者が似通った鯉屋さんばかりだった記憶がありますが、どれも横見がきれいでレベルが高かったです。

あんな鯉ばかり集めたら、それこそ美術館などからレンタルしてほしいという依頼が入りそうですし、ぜひとも恒例イベントにしてほしいと願いますが、まずは話題になる機会がなければはじまりません。

わたしがよく行く山古志の「おらたる」には、10尾程の大きな鯉が入る水槽がありますが、定期的に入れ替えるのか時々品種が違ったりします。ちょうど子供の目線になるような高さになっていて魅力的ですし、ヨーロッパや中国の熱心な愛好家の池にも、横見の窓がついていたりして、サイドビューというのは国を問わず惹きつけるものがあるんだろうと思います。

f:id:KOISHOWJP:20210118174137j:plain↑ 奥の120㎝水槽には約30㎝の鯉が3尾入っているのが見えます。その手前60㎝の薬浴水槽には目隠しの段ボールが貼ってあります。人間の存在を気にしないようにしていたのでしょう。


ただ、売る側からすると、「横見の鯉」というのは、今までの錦鯉文化の価値基準と真逆であるばかりか、選別が面倒で現実的ではないようです。ガラス越しで写真を撮ることになるので見映えも悪くなるという指摘を受けたこともありますし、ある生産者さんから「横見のキレイな白写りがいるからヤフオクに出しといて」と言われて出してみたのですが、入札がまったく入らず、取り下げたこともありました(カテゴリーを変えたら売れた可能性はありますが)。

つまり、横見の錦鯉を普及させるには、まず需要から創出していく必要があり、その手間と(売り手からする)コスパの悪さを考えると、やりたい人はほとんどいないというのが実情かもしれません。

~最終話につづく~

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